リーダーは信念を貫き、言葉どおりに行動する|リーダーシップ・チャレンジ(2)

5つの実践の中から、第1の実践「模範となる(MODEL THE WAY)」について、ご紹介します。

模範となる(MODEL THE WAY)


リーダーへの第一歩は、自らを振り返ることにある。またそれは、自分の価値観と心情を発見するための歩みでもある。
リーダーは自分の内なる声を聞かなければならない。判断や行動の指針となる原則を見つけださなければならない。そして、借りものではい自分の言葉で、リーダーとしての哲学を語る努力をしなければならない。
語るのは自分のためだけではない。すぐれたリーダーは、チームと組織のために語る。リーダーシップは対話であり、ひとりごとではない。だからこそ、リーダーはメンバーの心にふれなければならない。一人ひとりの価値観を理解し、尊重しながら、共通の価値観を確立していくのだ。
リーダーはみんなをひとつにする。だが強制はしない。ただ命令するのでなく、たがいの思いやりを育てる。
リーダーは信念を貫く。言葉どおりに行動する。自分がとなえる:価値観を行動で表す。そして共通の価値観に忠実であることを求める。言葉と行動の一致が、信頼を生む。

そのために、リーダが実践する原則が2つあります。

1) 自分自身の言葉で語り、共通の価値観を確認することで、価値観を明らかにする


「自分自身の言葉で語る」とは・・・
  • 価値観に従う
    信頼されるリーダーへの第一歩は、あなたの価値観を明らかにすることである。まずは、あなたの判断や行動の指針となり、成功と繁栄へと導いてくれるような基本的な信条を発見しよう。そのためには、あなたの真実の声が眠る心の奥底に分け入らなければならない。それは避けて通れない旅路だ。それが本物のリーダーとなるための唯一の道だからであり、あなた自身の価値観が、組織とその目的に対する献身の源となるからだ。
  • 自分らしく表現する
    自分の信条がわからなければ、それを行動で示すことはできない。また、自分の言葉で語らなければ、言葉どおりに行動することはできない。
  • メンバーの献身を引きだす
    すべてのリーダーは個人の価値観を明らかにしなければならないが、それだけでは足りない。リーダーの言葉は、自分だけのものではないからだ。リーダーの言葉は全員を代弁するものであるべきだ。全員が従うべき共通の価値観を共有すること。それが仕事に意義を与え、仕事への姿勢と成果に大きな違いをもたらす。

「共通の価値観を確立する」とは・・・
  • なぜ大切なのかを伝える、強制せずに一体感を育てる
    共通の価値観の共有は、押しつけではなくプロセスから生まれる。対話と議論を通して本当の合意が形成される。理解と努力が生みだされる。リーダーとメンバーの双方が共通の価値観に責任をもてるようにもなる。

「価値観を明らかにする」ために、実践することは・・・
  • これまでの経験では、どのような価値観のもとで選択や判断をしてきたかをふりかえる
  • 「自分にとって、リーダーの価値観と信念とはなにか」を自問する
  • あなたの現在の判断、優先順位、行動の指針となる価値観をはっきりと表現する
  • あなたにとってなにが大切かを自分の言葉で語る
  • 採用や研修などの場で価値観について語る
  • だれかが行動の理由や背景を表明することを手助けする
  • チームメンバーに価値観を語る機会を与える
  • 価値観、原則、基準について合意を築く
  • 合意した価値観や基準に全員が従うことを確認する

2) 共通の価値観に従って行動することで、手本を示す


「共通の価値観に従う」とは・・・
  • 時間と関心を賢く配分する
    リーダーがどこでなにをしても、それは周囲へのメッセージとなる。だれもがそれを注意深く観察し、なにが許される行動で、なにが許されない行動かを判断する。時間の使い方は、あなたがなにに重きをおいているかをもっとも如実に表す。時間は貴重な財産である。過ぎた時間は取りもどせない。だが、賢く使えば将来にわたってその恩恵を得ることができる。
  • 言葉を選ぶ,、目的をもって質問する
    リーダーはっねに注目されている。人々はいつもあなたに目を向け、あなたの噂をし、あなたが信頼できるかどうかを試している。だからこそ、正しい手本を見せることが大切であり、そのためにあらゆる手段を使うことが求められる。あなたの言葉や質問は、あなたがなにを大切にしているかを示す。
  • フィードバックを求める
    あなたの言行が本当に一致しているかは、メンバーにフィードバックを求めればわかる。見られているのは、あなたの行動だけではない。メンバーがどれほど共通の価値観に沿った行動をしているかによっても、あなたは評価される。リーダーは、自分だけでなく、メンバーも手本となれるよう指導しなければならない。
  • ストーリーを語る、望ましい行動を強化する
    理念は、くりかえし強調すれば実践されやすくなる。リーダーは適材を採用し、方向性を与え、能力を育て、望ましい行動がくりかえされるような組織制度を構築しなければならない。

「手本を示す」ために、実践することは・・・
  • 予定、会議、面接、メール、その他すべての時間配分を、あなたが大切だと説くことと一致させる
  • 約束を守る。やると言ったら必ず最後までやり遂げる
  • 職場に前向きな雰囲気を生むような言葉を何度も何度もくりかえす
  • もっとも大切な価値観や優先順位に注意を向けるよう、意図的な質問をする
  • あなたの行動がメンバーにどんな影響を与えているかを率直に訳ねる
  • フィードバックに従って自分の行動を変える。そうしなければ、だれもフイードバックをくれなくなる
  • 予想外のできごとを、組織の価値観を実践するチャンスにする
  • いきいきと記憶に残るようなストーリーを通して、模範的行動を広く伝える
  • さまざまな手段を使って望ましい行動を反復させる

今一度、以下の一節を再掲します。

リーダーは信念を貫く。言葉どおりに行動する。自分がとなえる:価値観を行動で表す。そして共通の価値観に忠実であることを求める。言葉と行動の一致が、信頼を生む。

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