お客様
C社 営業部門
インターネットビジネスで成長を遂げるC社は、従来のパッケージ商品に加え新たにソリューション商品の販売を開始しました。6か月前に営業部を増員したが、プロセスや情報共有が未整備であり、個人の経験やスキルに依存した営業活動のままであり十分な成果をあげるには至っていなかった。さらなる成長のために、組織としての強化が望まれました。
課題
新たにソリューション商品の投入やビジネス拡大のために、営業部門を増員しました。しかし、業界経験も豊富な少数精鋭の組織で営業活動を行っていたので見過ごしていた幾つかの懸念点が、顕在化してきました。具体的には、プロセスや情報共有が未整備であり、現状の商談状況が把握できず今後の売上見込みの予測も精度を欠いていました。また、個人の経験やスキルに依存した営業活動のままであり、計画的で分析的な営業活動を行う共通の基盤が整っていませんでした。
この機会に営業プロセス改善と基本行動を徹底し、営業部門の組織基盤の強化による業績向上を目標に、変革を開始しました。
対策
対策の実施に当たり、ASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)の「パフォーマンス・コンサルティング」モデルである「HPI(Human Performance Improvement)」の六つの視点から根本原因を分析しました。そして、以下の対策を実施しました。
1)知識やスキルの向上
業績向上の主要因と実施した対策 |
1)知識やスキルの向上
新たなソリューション商品については、全体の30%の営業しか販売しておらず、その要因は知識やスキル不足でした。ソリューション商品について、サービス内容のみならずお客様の解決する課題やベネフィットを自分達でまとめる勉強会を実施しました。また、ソリューション製品の営業のために、お客様のニーズを顕在化するための商談ロールプレイ演習を実施しました。毎週、営業部門長とのコーチングセションを3ヵ月間設定し、本取組み初期の不安や不明点を解消し早期の立上げを図りました。
2)モチベーションの向上と維持
本取組みの背景や目的を理解し目標を共有し実施計画を合意することで、主体的に積極的に変革に参画してもらうことが、成功の要因の一つでした。そのために、本取組みの開始時に相互理解とビジョン共有のためのキックオフミーティングを実施しました。これにより、営業部門として目指すべき姿や目標を自分達で考え明確にし、達成に向けての一体感や連帯感を持ちました。実施の過程でも、計画と実績を「見える化」し、絶えず達成に向けてのモチベーションを保ち続ける仕掛けを用意しました。
3)資源や環境の手配や改善
商品のパンフレットはあるものの、お客様への説明方法は個人任せでした。また、提案書などについても個人レベルでの再利用に留まっていました。そこで、共通のサービス説明資料、課題発掘のための質問シナリオ、お客様からの質問や懸念に対する資料と説明シナリオ、提案のための標準雛型などの資料を作成しました。また、それまで明文化されていなかった業務手順や営業プロセスをドキュメント化し、営業マニュアルとして作成しました。
4)業務プロセスや組織構造の明確化
営業プロセスを、現状の商談推進の方法や事例を調査・分析し、かつ一般的なベストプラクティスと比較・検討し、再構築しました。また、商談確度評価のための判断基準を、お客様の問題意識、自社の商品優位性、お客様の対応者など6項目について基準を設けました。そして商談確度を上げるための方法も、成功事例から抽出し体系化しました。
管理システムとして、週単位でお客様へのコンタクト計画を作成し、具体的な商談確度向上の目標を設定するようにしました。活動を評価するKPIとして、コンタクト数と商談確度の進捗度を設定し評価しました。また、商談確度を加味した売上見込みの予測と実際の結果から、商談確度の評価基準の精査と売上見込みの予測方法の改善を行いました。
会議も開催時間と内容を見直しました。朝会で一人ずつ、昨日の結果、今日の計画、問題点をチームに報告することで、タイムリーでスピーディな情報共有と問題対応ができました。商談状況の報告を朝礼に移したことで、金曜日の会議では全体での数字の確認と来週以降の行動や戦略に時間を割くことができました。
5)情報の伝達や共有の推進管理システムとして、週単位でお客様へのコンタクト計画を作成し、具体的な商談確度向上の目標を設定するようにしました。活動を評価するKPIとして、コンタクト数と商談確度の進捗度を設定し評価しました。また、商談確度を加味した売上見込みの予測と実際の結果から、商談確度の評価基準の精査と売上見込みの予測方法の改善を行いました。
会議も開催時間と内容を見直しました。朝会で一人ずつ、昨日の結果、今日の計画、問題点をチームに報告することで、タイムリーでスピーディな情報共有と問題対応ができました。商談状況の報告を朝礼に移したことで、金曜日の会議では全体での数字の確認と来週以降の行動や戦略に時間を割くことができました。
キックオフミーティングの開催、営業マニュアルの作成、朝会の実施などを通じて、意思疎通や情報の伝達や共有が進みました。また、今までは個人単位で対応することの多かった商談も、重要商談については、チームで対応することが増えました。この結果、さらに商談対応についてのノウハウの共有化が促進されました。
成果
上記の対策を複合的に実施することで、短期間で組織としての変革を実現できました。
実際の業績でも、全営業部員がソリューション商品の販売を達成しました(営業要員販売カバレッジ:30%→100%)。また的確な商談推進と対応により、商談期間が約20%短縮しました(4.7ヵ月→3.7ヵ月)。
営業プロセスのチェンジマネジメントと、業績向上という2つの目標を達成しました。
商談期間の短縮 |